『新事業進出補助金』とは
新事業進出補助金の概要
正確には「中小企業新事業進出促進補助金」という名称で、中小企業が新規事業へ前向きに挑戦するなら補助金で応援しましょうという経済産業省管轄の制度です。
新事業進出補助金が非常に注目される理由は、補助の対象となる経費の中に建物の工事代金が有るということです。しかも最大で補助金額は9,000万円!当社も平成19年に設立以来、数多くの補助金申請を支援しておりますが、このような使い勝手の良い補助金は滅多に見ることができません。是非このビッグチャンスを活用しましょう。
ただし、以前に有った事業再構築補助金と同じような制度でしょ?とお考えの方、全く違いますよ!まず事業再構築補助金はコロナ対策での緊急支援という要素が強かったので、「自社にとって新たな展開」であれば該当しました。例えば、「現在の事業を対面ではなく新しくオンラインで始めます」「フランチャイズに加盟してインドアゴルフ始めます」・・・事業再構築補助金では採択(合格)されていても、新事業進出補助金では確実に不採択になるでしょう。
対象外となる企業
・雇用している社員が0名(外注や業務委託は雇用ではありません)
・設立1年未満の企業
・直近16ヶ月以内にものづくり補助金、事業再構築補助金に採択されたことがある企業
新事業進出補助金の公募スケジュール
公募期間:令和7年4月22日~令和7年7月10日
採択発表:令和7年10月頃
※注① 口頭審査では、本当にこの新規事業をやる気があるのか?成功するための分析や準備を行っているか?という内容を聞かれますので、しっかりと準備しましょう。
※注② 交付申請では見積り、相見積もり等を提出します。この見積りの内容だけでも何度も何度もやり直しをさせられたり、最悪の場合は補助金が減額されたり、取消しになる場合もありますので、しっかりと対策を打ちしましょう。
※注③ 交付決定後に、発注や契約、支払がOKになります。それ以前に契約等してしまった場合は全て補助対象外になるので注意しましょう。
※注④ 補助金が入金されるまでに、事業計画に沿った全ての経費(設備投資、開発・・・)を使った上で、正しい資料(仕様書、注文書、納品書、検収書、通帳コピー・・・)を完璧に提出する必要があります。ここでも重大なミスを犯して補助金が取消しになったケースが多く存在しますので、何が正しいのかを事前にしっかりと把握しましょう。
新事業進出補助金で補助金はいくら出るの?条件(要件)はありますか?
補助金額・補助率について
補助金額
従業員数(人) | 補助金額(万円) | ||
---|---|---|---|
下限 | 上限 | 特例* | |
~20 | 750 | 2,500 | 3,000 |
21~50 | 4,000 | 5,000 | |
51~100 | 5,500 | 7,000 | |
101~ | 7,000 | 9,000 |
*大幅な賃上げによる補助上限値引き引き上げの特例措置の運用を受ける事業者の場合
補助率
1/2
・補助金の上限は上記のように従業員数によって変わりますが、いずれも下限が750万となっているため、補助事業に最低でも1,500万円以上の経費を使うことが最低条件となります。
・特例については下記②-4の賃上げ要件をご確認ください。
補助金を受けるために必ず必要な要件
①新事業進出要件
- 1.製品等の新規性
製造する製品もしくはサービスが新規性を有する
- 2.市場の新規性
製造する製品もしくはサービスの属する市場が新たな市場である
- 3.新規事業の売上高
新規事業の売上高が既存を含めた総売上高の10%以上or付加価値額15%以上になること(付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)
以上の3つの要件は必ず満たしている必要がありますが、新規性と新たな市場は特にしっかりと把握した上で取り組みましょう。ここの理解が不足しているまま申請して失敗する会社が多いと思われます。
②付加価値額要件と賃上げ要件
- 1.付加価値額要件
付加価値額(従業員一人当たりでも可)の年平均成長率が4%以上
- 2.賃上げ要件
3~5年間、給与支給総額が年平均成長率2.5%以上であること
or
3~5年間、従業員一人当たりの給与支給総額の年平均成長率が直近5年間の最低賃金の年平均成長率を上回ること
- 3.最低賃金水準要件
新規事業の売上高が既存を含めた総売上高の10%以上or付加価値額15%以上になること(付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)
- 4.特例 賃上げ要件
(補助金の上限を引上げた会社のみ)約1年以内で以下いずれも満たすこと
・給与支給総額を年平均6%以上増加させること
・事業内最低賃金を年額50円以上引き上げること
・最低賃金は補助事業を行う事業所の都道府県となります。
(注意)2、3、4に関しては達成できなかった場合、補助金の一部返還義務が生じます。
③その他要件
- ワークライフバランス要件
一般事業主行動計画を公表していること
- 金融機関要件
金融機関から資金提供(融資等)を受けて補助事業を実施する場合、「金融機関による確認書」が必要です。
・一般事業主行動計画を、知識の無い方が進める場合、計画作成時間8時間、申請作業1時間、申請後公表完了まで1週間程度要しますので、時間に余裕を持って進めましょう。
新事業進出補助金での補助金は何に使っても良いの?
基本的に補助金は、全て使ったお金に対しての補助であり、新事業進出補助金は新規事業に掛かる費用が4,000万円の場合、その1/2の2,000万円が補助金となります。そしてその使う費用は限定されており、以下のものとなります。
補助対象経費について
- 建物費
・機械装置・システム構築費といずれか必須
・建物の建設・改修費
- 機械装置費・システム構築費
・建物費といずれか必須
・システム開発する場合の費用はこれに該当
- 運搬費
補助事業の運搬に係るもの
- 技術導入費
知的財産権等の導入に要する経費
- 知的財産権等関連経費
補助事業実施期間内に出願手続きが完了する場合のみ
- 外注費
・補助上限:補助対象経費の10%
・検査、加工、設計等に係るもの
- 専門家経費
・補助上限:補助対象経費の10%
・検査、加工、設計等に係るもの
- クラウドサービス利用費
サーバーの領域を借りる費用。サーバー自体の購入やレンタルは×
- 広告宣伝・販売促進費
補助上限:例えば、補助事業後の5年間で売上見込みが5千万の場合、年平均1千万に対して5%の50万円が上限となります。
補助対象外経費について
・土地、建物、構築物の購入費
・汎用性があり、目的外使用になり得るもの(車両、船舶、PC、家電・・・)
・第一次産業に掛かる経費(自社で生産したものの加工に関する設備はOK)
・再生可能エネルギー発電設備