令和7年度から、人手不足を解消するための「省力化」を後押しする「省力化投資補助金」が大きく変わりました。

『省力化投資補助金』とは

省力化投資補助金の概要

正確には「中小企業省力化投資補助金」という名称で、中小企業や小規模事業者が人手不足を解消するための省力化・生産性向上に効果的な機械装置・システム等を導入するなら、補助金で応援しましょうという経済産業省管轄の制度です。
ものづくり補助金や新事業進出補助金と異なり、今の事業の人手不足問題を解消するための設備投資が対象です。ハイリスクな新事業への挑戦ではなく、あくまでも既存事業の足下を着実に改善するための投資への補助ですので、多くの企業が申請できる可能性が高いといえます。
以前は指定された「カタログ記載の機械装置・システム」だけが補助対象でしたが、令和7年度からはオーダーメイドの機械装置・システムも補助対象になったため、いっそう使いやすい補助金となりました。しかも最大で補助金額は1億円! 当社も平成19年に設立以来、数多くの補助金申請を支援しておりますが、このような使い勝手の良い補助金は滅多に見ることができません。是非このビッグチャンスを活用しましょう。
ただし、あくまでも「省力化」のための補助金ですので、「ただ機械を買い替えればいいんでしょ?」といった軽い考えでは、まず確実に不採択になってしまうでしょう。他の補助金ではみられない特殊な「指標」を計算して「省力化の成果」を具体的な数値で示す事、そしてその成果を会社の利益だけでなく、従業員の賃金にも還元する事が要求されます。

対象となる企業
  • 省力化を実施する場所が国外
  • ものづくり補助金、事業再構築補助金の交付決定を過去に受けたが、応募申請時点で補助金受給が完了していない企業
  • 特に申請日以前の3年間で、ものづくり補助金、事業再構築補助金に合計2回以上採択されたことがある企業
  • 観光庁の観光地・観光産業における人材不足対策事業の交付決定を過去に受けたor現在申請中の企業
  • 親会社と、親会社が議決権の50%超を持つ子会社は「みなし同一法人」となり、いずれか1社しか申請できません。(複数で申請した場合は全て不採択となります。また応募~補助金受給までの間に該当する事になった場合、その時点で対象外になります)
  • みなし大企業」に該当する企業 (応募~補助金受給までの間に該当する事になった場合、その時点で対象外になります)

>>「(中小企業)省力化投資補助金」の公式WEBサイト

省力化投資補助金の類型
この補助金は、「カタログ注文型」「一般型」という2種類が用意されています。

省力化投資補助金・「カタログ注文型」とは

指定されたカタログに記載されている機械装置・システムだけが補助対象となるタイプです。カタログに記載されていないものは、どれだけ省力化できても補助対象にはならない点に注意です。

省力化投資補助金・「カタログ注文型」のスケジュール

  • 随時受付
  • ※注① 交付申請では見積り、相見積もり等を提出します。この見積りの内容だけでも何度も何度もやり直しをさせられたり、最悪の場合は補助金が減額されたり、取消しになる場合もありますので、しっかりと対策を打ちしましょう。
    ※注② 交付決定後に、発注や契約、支払がOKになります。それ以前に契約等してしまった場合は全て補助対象外になるので注意しましょう。カタログ注文型の場合の実施期間は原則的に交付決定日から12ヶ月以内です。
    ※注③ 補助金が入金されるまでに、事業計画に沿った全ての経費(設備投資、開発・・・)を使った上で、正しい資料(仕様書、注文書、納品書、検収書、通帳コピー・・・)を完璧に提出する必要があります。ここでも重大なミスを犯して補助金が取消しになったケースが多く存在しますので、何が正しいのかを事前にしっかりと把握しましょう。

    省力化投資補助金・「カタログ注文型」で補助金はいくら出るの?条件(要件)はありますか?

    「カタログ注文型」の補助金額・補助率について

    補助金額

    従業員数補助上限額
    (通常時)(特例1適用時)
    ~5200万円300万円
    6~20500万円750万円
    21~1,000万円1,500万円
    ※補助金額が25万円未満となる場合は申請できません。

    *大幅な賃上げによる補助上限値引き引き上げの特例措置の運用を受ける事業者の場合

    補助率

    補助率1/2

    「カタログ注文型」の補助金を受けるために必ず必要な要件

    ①基本要件

    以下の要件を満たす必要があります。

    1.労働生産性の増加
    労働生産性を年平均4.0%以上増加させる事

    ②特例措置要件

    • 特例1:カタログ注文型・補助上限額の引き上げ

      【大幅な賃上げ】
      以下の大幅な賃上げに取り組むと、従業員数に応じて補助上限額が引き上げられます。
      ・給与支給総額の増加目標を年平均6.0%以上増加させる事。
      and
      ・補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金の水準を、毎年、その事業場がある都道府県の最低賃金+45円以上にする事。

    (注意) ②はいずれかを達成できなかった場合、補助金上限額の引き上げが取り消されます!
    (注意) 本事業の成果によって収益が得られた場合、補助金の一部を返還する収益納付を行う必要があります。(赤字の場合は免除)

    省力化投資補助金・「カタログ注文型」でもらえる補助金は何に使っても良いの?

    基本的に補助金は、全て使ったお金に対しての補助です。
    省力化投資補助金・「カタログ注文型」は省力化に掛かる費用のうち、指定のカタログに記載された機械装置・システムの購入(導入費用含む)のみが補助対象となります。

    「カタログ注文型」の補助対象経費について

      • 機械装置・システム構築費

        機械装置・システム構築費 ・税抜き単価50万円以上の機械装置・システム等の設備投資いずれかが必須

    「カタログ注文型」の補助対象経費について

    • 交付決定前や、補助対象期間の後に発生した費用
    • 自社事業の省力化に関係のない経費
    • 土地、建物、構築物の購入費
    • 汎用性があり、目的外使用になり得るもの(車両、船舶、PC、家電・・・)
    • 再生可能エネルギー発電設備
    • システム開発を自社の人員で行う場合の人件費
    • 開発不要なパッケージソフト・汎用ソフトウェアの購入費
    • 既存システム・ソフトウェアのバージョンアップ・アップデート費用
    • 省力化投資補助金・「一般型」とは

      オーダーメイドの機械装置・システムの開発や導入、ならびにそれに関連する様々な経費が補助対象となるタイプです。

      省力化投資補助金・「一般型」のスケジュール

      • 応募申請は、決められた受付期間中に行う必要があります。
      公募回応募申請の受付期間採択発表
      第1回2025年3月19日~2025年3月31日2025年6月16日
      第2回2025年4月25日~2025年5月30日2025年8月8日
      第3回2025年8月4日~2025年8月29日2025年11月下旬予定
      第4回(予定)(公表前)(公表前)

      ※注① 交付申請では見積り、相見積もり等を提出します。この見積りの内容だけでも何度も何度もやり直しをさせられたり、最悪の場合は補助金が減額されたり、取消しになる場合もありますので、しっかりと対策を打ちしましょう。
      ※注② 交付決定後に、発注や契約、支払がOKになります。それ以前に契約等してしまった場合は全て補助対象外になるので注意しましょう。一般型の場合の実施期間は原則的に交付決定日から18ヶ月以内です。
      ※注③ 補助金が入金されるまでに、事業計画に沿った全ての経費(設備投資、開発・・・)を使った上で、正しい資料(仕様書、注文書、納品書、検収書、通帳コピー・・・)を完璧に提出する必要があります。ここでも重大なミスを犯して補助金が取消しになったケースが多く存在しますので、何が正しいのかを事前にしっかりと把握しましょう。

      省力化投資補助金・「一般型」で補助金はいくら出るの?条件(要件)はありますか?

      「一般型」の補助金額・補助率について

      補助金額

      従業員数補助上限額
      (通常時)(特例2適用時)
      ~5750万円1,000万円
      6~201,500万円2,000万円
      21~503,000万円4,000万円
      51~1005,000万円6,500万円
      101~7,000万円1億円

      補助率

      一般型は補助率が複雑です。

      補助金額が1,500万円までの部分補助金額が1,500万円を超える部分
      中小企業1/2(特例3適用時) 2/31/3
      小規模事業者
      再生事業者
      2/3 1/3

      (特例2・特例3については、次項「「一般型」の補助金を受けるために必要な要件」をご確認ください。)

      (一般型・補助金額の具体例)

      例として、次のような企業が「一般型」に申請した場合を見てみましょう。

      • 代表役員1名・従業員数50名の中小企業。特例適用を申請しない。
      • 省力化にかかる経費総額(税抜き)は3,900万円。

      まず、補助上限額はいくら?

      この補助金の上限額は従業員数で決まりますが、従業員数には代表役員を含めません。この企業の場合の従業員数は50名となり、よって補助上限額は3,000万円までとなります。

      実際にもらえる補助金額はいくら?

      この例の場合では以下のような計算となり、実際に貰える補助金額は1,800万円となります。

      省力化のために使う経費総額経費総額3,900万円
      経費総額のうち
      3,000万円分まで
      経費総額のうち
      残り900万円分
      補助率1/21/3
      補助金額 1,500万円
      (3,000万円分 × 補助率1/2)
      300万円
      (残り900万円分 × 補助率1/3)
      補助金合計1,800万円

      「一般型」の補助金を受けるために必要な要件

      ①基本要件

      以下の要件を全て満たす必要があります。

      1. 労働生産性の増加 労働生産性を 年平均3.0%以上 増加させる事。
      (2回目申請の場合は 年平均4.0%以上 増加させる事)
      2. 給与支給総額の増加 給与支給総額を 年平均2.0%以上 増加させる事。
      ・従業員1人あたり給与支給総額を年平均、補助事業を実施する地域の基準率以上 に増加させる事。
      ・目標達成はどちらか片方だけでも大丈夫ですが、目標設定そのものは両方行っておく必要があります。
      3. 事業場内最低賃金の水準 省力化等で行う事業場内で最も低い賃金を、毎年
      その事業場がある都道府県の最低賃金 +30円以上 にする事。
      4. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表等従業員数21人以上 の中小企業のみ必須
      ・参考:厚生労働省「両立支援のひろば」
      https://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/search_init.php
      • 一般事業主行動計画を、知識の無い方が進める場合、計画作成時間8時間、申請作業1時間、申請後公表完了まで1週間程度要しますので、時間に余裕を持って進めましょう。
      • これらを満たした上で、省力化を目的とした補助金である事をしっかりと把握した上で取り組みましょう。ここの理解が不足しているまま申請して失敗する会社が多いと思われます。

      ②その他の要件

      ①に加えて、以下の要件も全て満たす必要があります。

      1. 省力化指数 どれだけの省力化を見込めるかを数値で示す
      「省力化指数」 を、あらかじめ計算して提示する事。
      2. 投資回収期間 省力化にかかる経費総額をどれだけの期間で回収できるかを数値で示す
      「投資回収期間」 を、根拠となる資料と一緒に提示する事。
      3. 付加価値額 補助金をもらったあと の 3~5 年間で、省力化前に比べて
      付加価値額が増加する 事。
      4. 機械設備・システム等の導入 省力化のために、
      機械設備・専用システム等を少なくとも 1 台以上導入 する事。
      5. 補助金をもらったあとの保守・メンテナンス体制 上記の機械設備や専用システムは、少なくとも補助金をもらったあとの3~5年間、保守・メンテナンス体制を確立 する事。
      6. 金融機関確認書 補助金をもらう前の支払等に必要な資金を金融機関からの融資等で調達する場合、金融機関に計画内容を確認してもらい、金融機関確認書を提出してもらう必要があります。

      ③特例措置要件

      「一般型」で補助金上限額や補助率を引き上げたい場合のみ、①②に加えて次の要件も満たす必要があります。いずれも基本要件以上に厳しい目標設定が必要です。

      特例 2:一般型・補助上限額の引き上げ 【大幅な賃上げ】
      以下の大幅な賃上げに取り組むと、従業員数に応じて補助上限額が引き上げられます。
      ・給与支給総額の増加目標を、基本要件の年平均 2.0%以上ではなく
      年平均 6.0%以上 とする事。
      and
      ・補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金の水準を、基本要件の+30円以上ではなく
      +50円以上 とする事。
      特例 3:一般型・補助率の引き上げ(中小企業のみ) 【最低賃金引上げ】
      中小企業のみ、最低賃金を引き上げると補助金額1,500万円までの補助率が
      1/2から2/3に引き上げられます。

      (注意)①②③はいずれかを達成できなかった場合、補助金の一部返還義務が生じます!
      (注意)一般型では本事業の成果によって収益が得られた場合でも、補助金の一部を返還する収益納付は不要です。

      省力化投資補助金・「一般型」でもらえる補助金は何に使っても良いの?

      基本的に補助金は、全て使ったお金に対しての補助です。省力化投資補助金は省力化に掛かる費用に限定されており、以下のものとなります。

      「一般型」の補助対象経費について

      オーダーメイドの機械装置・システムの購入(導入費用含む)だけは必ず行う必要があります。さらに必要に応じて以下の経費も補助対象として申請可能です。

      必須
      • 機械装置・システム構築費

        ・税抜き単価 50 万円以上の機械装置・システム等の設備投資いずれかが必須

      任意
      • 運搬費

        ・補助事業の運搬に係るもの。

      • 技術導入費

        ・補助上限・補助対象経費の 1/3

      • 弁理士の手続き代行費用等。

        ・補助事業実施期間内に出願手続きが完了する場合のみ
        ・特許庁への手数料等は対象外。
        ・補助上限・補助対象経費の 1/3

      • 外注費

        ・機械装置
        ・システム構築の設計等を外注する場合の経費。
        ・補助上限・補助対象経費の 1/2

      • 専門家経費

        補助事業における専門家への支払経費。ただし
        補助金申請のコンサルは×
        ・補助上限・補助対象経費の 1/2
        ・補助上限:1 日上限 5 万円

      • クラウドサービス利用費

        サーバーの領域を借りる費用。
        サーバー自体の購入やレンタルは×
        補助事業実施期間中に要する経費のみ

      「一般型」の補助対象外経費について

      • ・交付決定前や、補助対象期間の後に発生した費用
      • 自社事業の省力化に関係のない経費
      • 土地、建物、構築物の購入費
      • 汎用性があり、目的外使用になり得るもの(車両、船舶、PC、家電・・・)
      • 再生可能エネルギー発電設備
      • システム開発を自社の人員で行う場合の人件費
      • 開発不要なパッケージソフト・汎用ソフトウェアの購入費
      • 既存システム・ソフトウェアのバージョンアップ・アップデート費用

    SEMINAR INFO

    2025年09月無料説明会

    2025年10月無料説明会

    全国で開催中!
    資金調達を学ぶ説明会
    詳しくはこちら

    image
    image
    無料説明会についてはこちら